人手不足で倒産する企業が出るほど、人手不足が深刻化しています。
ですが一方では「人手不足なのに採用されない」と嘆く人もいます。
厚生労働省が発表している有効求人倍率は8月に1.5倍を超え、正社員の有効求人倍率も1倍を超えているのになぜ、「採用されない」と嘆く人がいるのでしょうか。
考えられる理由は2つ。
- 求人企業と求職者のミスマッチ
- 人手不足を煽る報道
ひとつずつ説明していきます。
企業と人材とで求めるものが違っている
まず考えられる理由は、求人企業と求職者のミスマッチがあげられます。
つまり求める人材像と応募してくる人材、あるいは求める職場と応募できる職場にズレがあるのです。
人気のある職種には仕事を求める人が大勢集まります。ですが求人数が少なければ、採用される人も少なくなります。
当たり前のことですが、このミスマッチがあることで「人手不足なのに仕事が無い」という方が増えているのです。
それを裏付ける数字が、厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」です。
参考までに、ミスマッチが発生している職業をいくつか紹介します。
◇一般事務の職業◇
有効求人数 : 88,252件
有効求職数 :290,471人
有効求人倍率:0.30倍
◇建築・土木・測量技術者◇
有効求人数 : 56,102件
有効求職数 : 9,880人
有効求人倍率:5.68倍
◇建設の職業◇
有効求人数 : 28,783件
有効求職数 : 6,762人
有効求人倍率:4.26倍
求人数に対して求職者数が少なければ、企業は「人が集まらない」と感じます。
逆に求人数に対して求職者数が多ければ、求職者は「仕事が無い」と感じるでしょう。
これが「人手不足なのに仕事がない」と感じるひとつの理由です。
ミスマッチを解消するには
求人企業と求職者のミスマッチが起こるのは、求人票だけでは必要な情報を得られないことにあります。
このミスマッチを解決するには、お互いの要望を聞き、間を取り持つ「人」か「会社」が必要です。
そこでオススメしたいのが転職エージェントとに相談することです。
転職エージェントは企業から必要な人材を聞いていますし、求職者の経験やスキル、希望も聞いています。
つまり求人企業と求職者のズレを、少なくする情報を持っているのです。
「人手不足なのに仕事がない」と感じたら、転職エージェントに相談することも考えてください。
「人手不足だ」と煽り過ぎている
連日のように「人手不足が深刻化している」という報道も、「人手不足なのに仕事が無い」と感じる理由になります。
なぜなら厚生労働省が発表している「労働力調査」をみると、女性や高齢者が働きに出ていることで、労働人口自体は増加しているのです。
上の表は平成2年から平成29年までの労働人口の変化です。
正規社員は減っていますが、非正規社員・パートアルバイトが増えているため、総数では増加しています。
つまり深刻な人手不足に陥っているのは一部の業界だけ、だと考えることも出来るのです。
それなのに全業界が人手不足だと取れるような記事を目にすることで、「人手不足だから採用されやすい」と考える人が増えている気がします。
「売り手市場だから」と軽く考えている
人手不足なのに仕事が無い要因は次の2つ。
- 求人企業と求職者のミスマッチ
- 過剰な「人手不足」の報道
ですがほかの要因として、就職活動に臨む姿勢も考えられます。
当たり前のことですが、人手不足だからといって「採用されやすい」わけではありません。
むしろ「人手不足だから採用されやすいだろう」と考えている人ほど、採用されないものです。
なぜなら「就職を軽く考えている」という雰囲気が体中からあふれ、その雰囲気は採用担当者に必ず伝わるからです。
「人手不足なのに仕事が無い」
そう考える前に自分自身の姿勢に問題がないか、見直してみることも大切です。
Note
次の2つが原因で「人手不足なのに仕事が無い」と感じてしまう。
- 全業界が人手不足だと勘違いしやすい
- 求人企業と求職者のミスマッチが発生している
とはいえ仕事がない原因は、自分にある可能性も否定できない。